「黄金比マスク福笑い」で美人を作ろうとした結果…
突然だが、黄金比マスクというものを知っているだろうか。黄金比マスクとは顔面の黄金比を線形化したものであり、これを用いることにより人の顔が美形か否かを可視化することが出来ると言ったものだ。
そこで私は考えた。まず福笑いを作り、黄金比マスクに沿って顔のパーツのサイズを変えてしまおうと。さっそく黄金比マスクの透過素材を入手した私は、適当な素材で福笑いを作ろうと考えた。
元から美人しかいないのだが…。
美人は目の保養だ。もしかしたらガン治療にさえ役立つかも知れない。しかし、この実験においてはむしろ並かそれ以下の容姿の女性を使わなければならない。ならば肖像権の切れている人物の写真を使う他ないだろう。
こちらは福田和子。松山ホステス殺人事件の犯人である。十五年もの間逃亡し続けた猛者にして、日本を震撼させた悪女だ。
なお、故人である福田和子に肖像権はない。
準備完了だ。
まずは顔のパーツのサイズや形をいじり、黄金比マスクに合わせていく。
怖い。
これがかの有名な不気味の谷とやらなのだろうか。とりあえずパーツと皮膚をなじませ、色合いを自然なグラデーションにしていく必要がありそうだ。ついでに化粧も施していくことにする。
アイシャドウで目を切れ長に見せ、二重まぶたを描き、肌も血色を良くした。これで原型と比べると幾分綺麗になったのではないだろうか。しかし出来上がった写真は、お世辞にも美人とは言いがたい。私の技術不足を痛感するばかりだ。
黄金比マスク福笑いは素人の手に負える代物ではなかった。