桃太郎の桃について考える

 ネタ切れにつき、しばらく更新していなかった。今回は大きな桃について考えよう。

 

 本来、桃太郎というおとぎ話には大きな桃というものは存在していなかった。元々の内容は、祖父母が桃を食べたことによって若返り、夜の営みを行ったことによって桃太郎が誕生したという話になっている。それにしても、なぜ桃を食べただけで若返ってしまうのだろうか。

 

 

 実は、桃が特殊であるとは限らないという結論を下すことも可能だ。ご存知の通り、桃太郎には人間以外にも人間との意思疎通を図れる生物がいくつか存在している。犬、猿、雉、そして鬼だ。祖父母が人間であるという記述がどこにも見当たらない以上、彼らが何らかの「若返る生物」である可能性は捨てきれないのだ。

 

 寿命で死ぬロブスターは存在しない、という話をテロメラーゼの働きが活発で、短くなったテロメアを再び長くすることが出来るというのだ。更にロブスターは脱皮を行うたびに細胞や臓器が若返るため、永遠に寿命による死を迎えないという。ニューヨークのレストランでは、推定140歳と思われるロブスターが見つかったという前例もある。

 もし祖父母がロブスターだったなら、桃を食べたことで新陳代謝の一環として脱皮をしてもおかしくはない。実は桃太郎を育て上げた二人はロブスターだったのだ。犬と猿と雉がきび団子を食べるのだから、ロブスターが桃を食べても何もおかしくはない。

 

 

 続いては、今有名な方の桃太郎について触れていこうと思う。大きな桃についての考察だ。これはおそらく性行為を連想させる描写を避けるための改変で、なおかつ「桃太郎が桃太郎たる所以」を崩さないための果肉の策……もとい苦肉の策が大きな桃だったのだろう。桃が出生に携わっていなければ、桃太郎が桃太郎と名づけられることなどないのだから。

 

 ところで、桃太郎の生息圏には「鬼」という生物が関わっている。この鬼は物語において駆除対象であり、鬼ヶ島から日本本土まで財宝を盗みに来ることから特定外来生物の類であると考えることも出来る。喋ることの出来る犬と猿と雉。鬼という特殊な生物。そして大きな桃と、その中で生誕した桃太郎。突き詰めれば突き詰めるほど、この世界における生命とは異常なものだ。

 実は桃太郎のモデルは、吉備津彦命という人物であるとされている。彼は古の日本の皇族の一人なのだが、当時の皇族の間では近しい親戚同士での結婚が相次いでいたらしい。その結果、皇族の血はどんどん濃くなっていき、未熟児や異様な個体などが生まれやすくなってしまう。

 話を戻そう。これらの話を照合した時に見えてくる一つの答えがある。桃太郎の物語を通して語られているものは、一貫して「歪な遺伝子」なのだ。桃太郎に登場する異常な生物は皆、遺伝子の悲劇を背負って存在している。大きな桃はおそらく、遺伝子工学に基づき食用に品種改良された個体であると推測出来る。この桃は人間の愚かさの象徴であり、そこから桃太郎が誕生するということは「人間の愚かさが桃太郎を生み出した」ということを表している。古の皇族の繁栄の仕方に対する痛烈な風刺を感じさせる。しかし人間が自分で鬼を生み出し、自分でそれを駆除するとは、何とも考えさせられるものがある。

 

 

 信じるか信じないかは、あなた次第です。